京都府音羽山のふもとに佇む清水寺は、ユネスコの世界遺産に登録されています。778年に創建されたとされる清水寺ですが、現存する建物の多くも1633年に再建されたもので、古い歴史を持ちます。
2007年、新・世界七不思議にノミネートされたこともある清水寺の舞台は正面36m。13mもの高さで谷にせり出しています。舞台に立つ演者の目に観客が映ることはなく、目前に広がるのは迫力満点の緑あふれる谷底です。 このような希少な舞台でマイクを手にしたのは、イタリアのヴォーカル・トリオ、イル・ヴォーロ。世界中の女性リーダー育成を掲げる非営利団体ウィドゥ・グローバルの協賛により、2022年8月5日、清水寺でのチャリティ・コンサートを実現しました。
世界各国へのプレミア配信用として、舞台から50mほど左手にある奥の院に設けられた、来賓用VIP席前方からコンサートは撮影されました。 照明デザイナーの林幸輝氏と土屋道雄氏の手により、Robert Juliatの照明機材は本コンサートにおいて重要な役割を担いました。ステージ照明としてRobert Juliatのランスロット4K HTI 2°-5°、フットライトのダリス862、ホリゾントライトのダリス860、ウォッシュライトのダリス861が選定され、舞台セットやアーティスト、オーケストラを照らしました。
RJフォロースポットのランスロット3台は、メインステージから180m離れた三重塔様式の子安の塔に設置され、清水寺の屋根に光を投げかけました。当初はアーティストとオーケストラへの明かりとして予定されていましたが、ダリスがアーティストとオーケストラを照らすのに十分な明度を持っていたため、東京オリンピックに向けて2020年に修繕されたばかりの屋根をランスロットが照らすこととなりました。
「清水寺の舞台の屋根を照らすのに、ランスロットは欠かせない機材でした。」今回のイベントで照明機材のサプライヤーを務めた、綜合舞台の土屋道雄氏はそう話します。「照射距離が長いので、フォロースポットの細かな微調整が必要となります。機材の角度が少し変わるだけで180m先の照射地点では大きな違いが出てしまうため、慎重に行わなければなりません。ランスロットは機材本体もスタンドもつくりが頑丈なのでしっかりと安定し、微調整もカンタンに行うことができました。」
舞台に蹄鉄状に並べられたフットライトのダリス862、6台がイル・ヴォーロのメンバーを前方から照らし、リグに設置されたウォッシュライトのダリス861、10台が、トップライトとしてオーケストラを頭上から照らしました。通常は明るい光があたることのない、一般客からは遮断されている寺院内部には特別に15台のホリゾントライト、ダリス860が設置され、舞台背景としての神聖な領域に微かな明かりを灯しました。「ダリスを微調整することで神域に敬意を欠くことなく、撮影に必要となる最低限の光量で臨むことができました。」と、綜合舞台の徳弘健太郎氏は語りました。 仕込みやリハーサル時、綜合舞台メンバーは数々の問題に直面しました。歴史的建造物であるため建築物やあらゆる表面に傷がつくことのないよう細心の注意を払わなければならず、また京都の主要観光スポットのため、閉館される午後6時半から翌朝6時までの間に全ての仕込みとリハーサルを行い、観光客が来場する時間帯には全ての機材を撤収し、景観を損ねないようにする工夫が必要とされました。そのうえ「清水寺」というその名の通り(?)、本番を迎えるまでの数日間はなんと、激しい大雨に見舞われたのです…。
「フットライトのダリスは、頭上から光をあてることなく野外ステージの3名を照らすのにベストな機材でした。」と、綜合舞台の林幸輝氏は話します。「雨の日にも機材は容易にカバーすることができ、また毎回の仕込みやバラシ作業においても操作、設置、取り外し、すベてカンタンに行うことができました。何よりも、雨天においてもカメラ撮影に最適な色温度となるよう、素早く調節ができたことがとても印象に残っています。」
「撮影当日、幸いにも雨は止み、イル・ヴォーロ、オーケストラ共に完璧な歌唱力と演奏を披露しました。清水寺で史上初の、海外アーティスト公演の撮影を大成功に収めたのです。」Robert Juliatのランスロットとダリスは、日本で独占販売権を有するRobert Juliat正規代理店、(株)綜合舞台によって清水寺にサプライされました。
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